約束の方舟


約束の方舟  上

約束の方舟 (上) (ハヤカワ文庫JA)


約束の方舟  下

約束の方舟 (下) (ハヤカワ文庫JA)

ものすごく面白かったです。
すばらしい成長物語でした。


子供たちのベガーとの交流が生き生きと描かれていて読んでいて楽しい。
そして、ベガーを交えた成長というものが子供たちそれぞれにあるのが良いですね。
自分の思いを持ち行動していく姿がシンゴはもちろんのことケンやスイレンにもあり、なにより丁寧に描写されているので子供”たち”の物語として成り立っているのだよなと。
それだけに生じてしまう対立というものにはやはりつらいなと。


シンゴとテルのやりとりにニマニマしながら読んでいたら、ガツンとやられて一気に読んでしまいました。
そこからの物語は、対立関係がいつ表面化してもおかしくない緊張感があり読んでいて苦しい思いもありました。
ただ、子供たちの成長、特にやはりシンゴの望む未来を実現しようとする行動には先を読みたいという思いを強くさせてくれます。
悲しみと緊張感を含みながらも、ベガーとの交流には暖かさがありますしね。
それに、下巻でもやはりシンゴのテルのやりとりは良いなと思わせてくれるのが良いですね。
この2人には楽しませてもらいました。
そういった意味ではキリナはちょっと弱かったかなとも思っちゃうかな。


ベガーという存在といった物語上の謎に関しても、綺麗につながっていくのが良かったです。
色々と気になりつつも読んでいた点が、はっきりとなる瞬間は読んでいて気持ち良いなと


読みおわってからの余韻もすばらしいです。
とても盛り上がる終わり方をし、エピローグで寂しさをも含んだ行く末が書かれているのはなんかずるいな。
一気に心踊らされる展開だっただけに、印象にすごく残るというか。
最後の最後まですばらしいとしか言いようの無い物語でした。