クレイジーカンガルーの夏
- 作者: 誼阿古,藤本みゆき
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2006/11/14
- メディア: 文庫
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田んぼの上を通り過ぎるジャンボジェット。ラジカセから流れる「はっぴいえんど」の歌。中学一年の夏休み。
須田広樹が待ちに待った夏休みは、仲の良い秀一や敬道、それに東京から転校してきた、ちょっとあか抜けた感じの従兄弟・冽史を交えてにぎやかに始まった。プールで遊んで、ガンダム談義で盛り上がって、大人のリクツなんかには全然納得したくなくて……いつまでも続けばいいと思っていた。そんなある日、冽史の家の事情をきっかけに、4人はちょっとした冒険を試みることになるのだった。
誰しも心のどこかに残している少年時代が色鮮やかに蘇る、ちょっとノスタルジックなストーリー。
さわやかな青春ものだと勝手に期待して読んだのですが、甘かったようです。
序盤の状況説明の部分が読んでいてつらい。
家庭内での問題とか、家庭間での見栄の張り合い、田舎の風習といった言ってしまえば醜い部分の連続となっていてなんだか読むのに気が進まなかったです。
実際にそのようなことは現実でもあるのだけど、改めて文章で読むのはいい気分ではないです。
淡々と物語も進むのでちょっと退屈だし。
あと、関西弁での会話なので読み慣れていないということも原因かと。
中盤に入って、冒険の計画が挙がるとこから盛り上がるかなと思ったのですが、その冒険もかなり淡々と進んでしまいました。
目的もあっさりと達成してしまったような。
冒険部分を期待していただけに、あれれといった感じです。
最後に一波乱ありましたが。
ただ、そこからのほうが結構面白かったかも。
冒険をしたことによる子供と大人の対立の場面。
子供側のほうに感情移入していたのですが、読んでいて爽快な部分もあるし、苛立ってしまう部分もあって楽しめた。
決着のつけ方は物語中で言われているように「卑怯」なもので、完全にすっきりとはいかないのですが。
爽やかなストーリーではなかったですが、青春ものではあったかな。
ほろ苦いというか。
この物語は1979年が舞台とのことなのでノスタルジックとなっているのですが、僕の生まれる前の話なのでそこらへんはよくわかりません。
音楽とかさっぱり、わかるのはサザンくらい。
「ガンダム談義」の内容についてはなんとなくわかりますが。
そうそう、普通に物語中でガンダムについて語ってましたよ。
全体の感想としてはなんとも言い難いな。
面白い部分もあるのだけど、不満な部分もあるので。
物語としてはすっきり終わっているのだけど、僕としてはすっきり出来なかった、といったところ。