M.G.H.楽園の鏡像

M.G.H.―楽園の鏡像 (徳間デュアル文庫)

M.G.H.―楽園の鏡像 (徳間デュアル文庫)


海底密室の十数年後の同系列のストーリーにして、
宇宙ステーションでの墜落死という謎にせまるSFミステリ。
ただ、こちらのほうが先に発表された作品で、第1回日本SF新人賞受賞作とのこと。


とてもおもしろかった。
死体発見のシーンから始まるのだが、なかなかその場面に行き着かない。
けれど、退屈に感じなかった。
むしろ、とても楽しめた。
解説で言うところの「キャラクター小説のテイスト」部分が僕の好みに一致していためだろうか。

挙式間近のカップル対象にした旅行プレゼントを口実として(強引に)凌との結婚に持ち込む舞衣の姿は、まさしく典型的な(漫画的な)押しかけ女房パターンに違いない。勝手に結婚指輪を買い、旅行後に離婚するという提案に抗議する舞衣、それを憎からず思っている凌、顚末を見守っている叔母などのキャラクターには、ライトノベルやラブコメにも一脈通じるものがある。


こんな展開好きなんだなぁと改めて思いました。


謎に関しては、読む前から墜落死に関して身構えて読んでいた感があるので、予想よりあっさりしていた印象が。
自分で書いていおきながら、よくわからない印象だな。
海底密室よりも謎の解明に繋がる部分で親切だったからかもしれない。
綺麗に謎につながっていたような。
個人的には第2の事件のほうがそうなんだという感じでした。


あと、複線の張り方が上手いなと感じた。
読み終わったときに、あのシーンはここに通じていたんだと思い返すシーンが多かった。
こういう点も物語を面白くしているのだろうな。


このシリーズの構想はあるとのことなのでぜひ読んでみたい。